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泌尿器科


当科について

ご案内

場所

本館2F

受付時間

新患:8時〜11時30分まで
再来:8時〜11時30分まで

診療部の特色

当科は地域の診療拠点として、実地医家の先生方と連携しながら高度先進医療を提供しています。医学の進歩に伴い診療の選択肢が増え、診療方針は患者さんとご家族の希望に十分配慮し決めています。平成27年度の総手術件数は1091件でした。麻酔科の協力の下、短時間で安全確実な手術を心掛けています。

平成23年度より第二泌尿器科が新設され、平成27年度までは、腎移植については第一泌尿器科が、ロボット手術、男性機能障害については第二泌尿器科が担当し、一般的泌尿器科については第一・第二泌尿器科協働のもと診療にあたってまいりました。平成28年4月よりスタッフの交代に伴い平成28年度4月より2診療科が合併し、第一・第二泌尿器科と改称し、金岡が第一泌尿器科部長、玉置が第二泌尿器科部長に就任いたしました。診療連携を重視し、紹介患者の初診は基本的に、部長が行い治療方針を決定するようにしております。入院後は他のスタッフが主治医となることが多いのですが毎日の早朝カンファレンスに加え定期的に全病棟の回診を行って、診療科全体として責任を持って治療にあたっております。

標準的医療を安全確実に行うと共に、先進医療にも積極的に取り組んでおります。平成24年4月に前立腺がんに対するロボット支援手術が保険適応となったのを受け平成25年2月daVinci Siの西日本一号機を導入、同年5月からは同機を用いたロボット支援下内視鏡前立腺全摘出術を開始、平成28年9月までで190例行っています。平成28年4月には腎腫瘍に対する腎部分切除術にロボット支援下内視鏡手術が保険適応となりました。当センターでも本年度中に本格的に開始いたします。

あらゆる領域でQOLを重視した低浸襲な治療が模索されています。当科でも年々鏡視下手術が増加し副腎腫瘍はもとより、腎腫瘍、前立腺腫瘍の大部分が鏡視下に行われています。さらには腎移植のドナーの腎摘出も鏡視下で行っております。しかし開放手術にも利点はあり、その適応を十分検討して行うようしております。

地味な分野ですが尿路結石の治療も年々大きく変わってきています。従来体外衝撃波で破砕できないサイズの腎結石は腎瘻からのアプローチ(PNL)が必要でしたが、細径の軟性尿管鏡の出現により経尿道的にも治療可能になってきています(f-TUL)。
新しい医療機器はその利点を最大に活用するためにはトレーニングが必要です。当科ではスタッフを新技術習得のため先行施設への派遣や、プロクターの招聘を積極的に行い、我が国における最新医療を安全に提供するようにしております。

当科は地域社会根ざし、かつ開かれた医療を目指しています。まず地域での医療連携についてですが、現在の社会情勢に沿った医療需要に答えるためには病院完結型医療から地域完結型医療への転換が必要で、そのためには実地医家の先生方との連携が不可欠です。当科でも日常の連携に加え、前立腺疾患や排尿管理などについての連携パス作成を地域の医療関係の皆様のご意見を伺いながらすすめております。また医療は医療者・患者・社会が三位一体となって作り上げていくものであり、この三者に共通の問題意識が必要であると考え、市民公開講座などの開催などに積極的に取り組んでいます。


スタッフ紹介

医師

金岡 俊雄 (かなおか としお)

役職 第一泌尿器科部長
卒業年 昭和54年
専門分野 泌尿器癌治療
男性機能学
ロボット手術
資格 医学博士
京都大学医学部臨床教授
関西医科大学臨床教授
日本環境ホルモン学会評議員
日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本プライマリケア連合学会指導医・認定医

玉置 雅弘 (たまき まさひろ)

役職 第二泌尿器科部長
卒業年 平成4年
専門分野 泌尿器悪性腫瘍
泌尿器腹腔鏡手術・ロボット手術
間質性膀胱炎
資格 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
ダヴインチ手術資格

上山 裕樹 (かみやま ゆうき)

役職 医師
卒業年 平成19年
専門分野  
資格 日本泌尿器学会専門医
ダヴィンチ手術資格

山田 裕也 (やまだ ゆうや)

役職 医師
卒業年 平成23年
専門分野  
資格 ダヴィンチ手術資格

藤川 祥平 (ふじかわ しょうへい)

役職 医師
卒業年 平成23年
専門分野  
資格  

宗宮 伸弥 (そうみや しんや)

役職 医師
卒業年 平成26年
専門分野  
資格  

藤原 裕士 (ふじわら ひろし)

役職 医師
卒業年 平成27年
専門分野  
資格  

林 正 (はやし ただし)

役職 嘱託
卒業年 昭和50年
専門分野 前立腺疾患の治療
資格 日本泌尿器科学会指導医・専門医

疾患・治療

代表的疾患についての取り組み

悪性腫瘍

 【 前立腺がん 】 

 

 前立腺がんについて 

前立線は男性の膀胱の出口で尿道を取り囲むように存在する、精液の一部を造る臓器です。前立腺がんは、一般に高齢男性特有のがんで、加齢に伴い罹患率が増加します。高齢化や生活の欧米化などに伴い、我が国の前立線がんの罹患率は2015年には胃がん、肺がんを抜いて1位になりました。一方で、色々ながんの中でも前立腺がんは比較的ゆっくり進行することが多く、適切な治療を施せば比較的長期の予後も期待できます。

 PSA検査と前立腺生検(ぜんりつせんせいけん) 

PSA検査は、前立腺がんの早期発見に極めて優れた腫瘍マーカーであり血液検査で簡単に調べることが可能です。基準値は4.0ng/ml以下とされており、基準値を超える場合には、前立腺生検が必要です。前立腺生検とは、前立腺の組織を肛門から超音波で確認しながら、特殊な針を用いて糸くずほどの小さな組織を8−12箇所程度採取し、病理検査でがんの有無を評価する検査です。検査後は血尿や肛門からの出血がみられますが、通常は入院を必要とせず、当センターでは外来で検査可能です。一般にPSA値が4以上10未満(グレーゾーンと呼ばれる)では約3割の方で、また10以上20未満では約5割の方で前立腺がんが見つかり、高値になるほどがんの検出率が高くなります。もし、一度の検査でがんが検出されなくても、引き続き注意深くPSAを定期的にチェックしていくことが大切です。また、PSAが4.0以下であっても、上昇傾向が明らかな場合や比較的若年者(60歳未満)では、生検が必要な場合もありますので、主治医に是非ご相談ください。

 もしがんが見つかったら  

前立腺がんは、一般的にリンパ節や骨に転移することが多いのが特徴です。そのため、もしがんが見つかったら、転移がないかどうかを評価する必要があります。一般には、PSAの値にも依りますが、CT検査や骨シンチやMRIなどでがんの進行具合を評価します。


 前立腺がんの治療  

転移がなく前立腺にがんが限局している場合には、局所的治療(手術・放射線など)、転移が明らかな場合には、全身的治療(ホルモン療法や化学療法など)を行うのが一般的ですが、患者さんの年齢や合併症の有無などにより最適な治療を選択していくことになります。なお、非常におとなしいがんの場合は、治療せず経過観察する場合もあります。


 前立腺がんの手術治療  

前立腺がんの手術では、前立腺に付着する精嚢という臓器と一塊にして前立腺を丸ごと摘出します。前立腺内部を尿道が通っているため、摘出後は尿道が途切れた状態になりますが、膀胱の出口と尿道断端部を再吻合し、尿道を通し自然に排尿できるよう再建します。
かつては開腹手術で行うのが一般的でしたが、最近は腹腔鏡手術でも行われるようになりました。当科では、腹腔鏡手術がより進化し、精細な操作が可能になったロボット手術(ダヴィンチ手術)を2013年に導入し、最近ではほぼ全例ロボット手術で行なっており200例以上(2016年10月現在)の実績があります。一般に、前立腺がんの術後には、程度に個人差はありますが、尿失禁を生じることが多く、しばらくオムツやパッドが必要となりますが、数ヶ月単位で日常生活に支障のない程度まで改善します。また、術後は前立腺とともに勃起に関わる神経も犠牲にするため勃起不全(ED)となりますが、希望があれば、年齢や病理結果によっては、勃起神経の温存も可能です。ロボット手術では、術中の出血も少なく、早期退院が可能であり、通常、術後1週間程度で退院となります。 摘出後は、病理結果で詳細なステージを診断し、今後の経過観察や治療計画の材料にします。一般に術後PSA値が低下しますが、時に下がりが悪かったり、いったん下がりきっても再度上昇する(PSA再発)ことが約20-30%の症例で認められます。そのような場合には必要に応じ追加治療を検討していきます。

 

 放射線治療について  

手術に代わる治療として、放射線治療も有用です。当科では、主に、合併症や年齢などの理由で手術が難しい場合や、術後に局所再発が疑われる場合などに、行っています。実際には、当センター放射線科の協力のもと、より精度の高い放射線治療(IMRT)を提供しており、通院での治療が可能です。一般的には、ウイークデイは毎日通院し、目的にもよりますが、治療終了まで約1カ月半程度の治療通院期間が必要です。


 全身治療について  


 1)内分泌療法について
他のがんと違い、前立腺がんにきわめて特徴的なのは、男性ホルモン依存性、すなわち、男性ホルモンが前立腺がんの増殖を促進するという性質です。男性ホルモンは、ほとんどは精巣で造られますが、一部、副腎という臓器でも造られています。この男性ホルモンを抑制し去勢状態にする治療が、いわゆるホルモン療法(抗男性ホルモン療法)です。かつては両側の精巣を手術で摘除(去勢術あるいは除睾術)することが一般的でしたが、最近は1か月毎、あるいは3か月毎に皮下注射をすることで、除睾術とほぼ同等の効果を得ることが可能であり、最も一般的です。さらに、内服薬(抗男性ホルモン製剤)を併用することで、副腎由来の男性ホルモンを含め、ほぼ100%近い男性ホルモンを抑えることが理論上可能です。
しかし、極めて有効性が高い一方、平均2年程度(がんの性質やステージにより差があります)で初期の治療効果が失われ、再びPSAが上昇するという現象(再燃)が見られます。これは、初期の治療に抵抗を示す細胞が再び増殖してきたことを意味するもので、この段階の前立腺がんを去勢抵抗性前立腺がんと呼びます。このような場合、投与する薬剤を変更することで病勢を抑制し、再度PSAの低下が期待できます。最近は、これら去勢抵抗性前立腺がんに対する新薬も複数保険適応になっており、今後さらに前立腺がんの予後を改善することが期待されています。

 

2)化学療法(いわゆる抗がん剤治療)

一般に、去勢抵抗性前立腺がんや転移(特に内臓転移や大きな転移巣)を有する前立腺がんに対して行われます。特に、本来の前立腺がんの性質である男性ホルモン依存性を失ったがんは、各種抗男性ホルモンにも十分な効果が期待できないことも多く、時期を逸することなく化学療法を考慮する必要があります。ドセタキセルや、最近ではカバジタキセルなどのタキサン系の抗がん剤が用いられます。初期は、入院治療を要しますが、有害事象(副作用)が軽度であれば通院治療も可能となります。

 



 【 膀胱がん 】 

 

 膀胱がんについて 

膀胱は下腹部の尿をためて排出する袋型の臓器です。膀胱がんは一般に60歳以上の男性に多いがんで、喫煙や、工場で使用される染料が原因となることがあります。進行するまで痛みなどの症状が乏しいことが多く、血尿がきっかけで発見されることがほとんどです。治療はさまざまな方法があり、病期の進行度などによって患者さん1人1人に最も適切な治療を選ぶことが重要です。

 診断 

膀胱鏡:尿道から内視鏡を挿入して膀胱内を観察します。必要に応じて仙骨(おしり)への注射や、尿道へのゼリー注入などによって麻酔をしてから行います。

尿細胞診:尿中に剥離したがん細胞の有無を見る検査です。内視鏡所見などとあわせ、診断の参考とします。

CT / MRI:がんの進行度などを調べるために行います。

 治療 

転移があるかどうか、表在性腫瘍(内視鏡で取りきれる腫瘍)かどうか、など様々な情報を踏まえて治療方針を決定します。具体的には以下のような治療があります。

1.内視鏡治療(経尿道的膀胱腫瘍切除術 / TURBT)
膀胱がんが発見されたとき、通常はまず診断(組織採取)と治療を兼ねて内視鏡手術を行います。この手術によって組織型、悪性度、深達度(がんの根の深さ)などを診断し、追加治療の必要性を判断します。
2.膀胱内注入療法
悪性度が高いがん、多発するがんなどに対しては膀胱内に薬剤を注入する治療を行うことがあります。抗がん剤やBCG(結核菌)など特殊な薬剤を膀胱内に一時的に溜める治療です。
3.開腹手術(膀胱全摘術)
浸潤性腫瘍(がんの根が深く、内視鏡で取りきれない腫瘍)の場合、基本的には膀胱そのものを摘出する手術を行います。この場合、何らかの形で尿を体外へ導く手術(尿路変向術)が必要になります。腹壁にストマと呼ばれる尿の出口を作る方法(尿管皮膚瘻、回腸導管)、または尿道からの自然排尿が可能な膀胱再建術(新膀胱)などがあります。
4.化学療法(抗がん剤治療)
転移がある状況では、体への負担が大きい手術よりも、抗がん剤治療のほうが良い効果が期待できる場合があります。
5.放射線療法
根治治療としては十分な効果は得られませんが、補助的に用いる場合があります。

 当センターの治療成績 

平成27年1月~12月の内視鏡手術(経尿道的腫瘍切除術)は145例、膀胱全摘除術25例(回腸導管22例、尿管皮膚瘻2例、新膀胱1例)でした。

当センターにおける、膀胱がんに対する膀胱全摘の治療成績を図に示します。2005年1月から2014年12月に膀胱全摘を受けられた119人の患者さんについてのデータです。

膀胱外にがんが進展しているような症例も含め、5年後の生存率は63.4%、10年後の生存率は54.5%でした(下図参照)。諸家の報告と比較しても良好な結果が得られていると考えています。

<参考>

山田裕也、上山裕樹、岡所広祐、玉置雅弘、金岡俊雄、林正:当センターにおける膀胱がんに対する膀胱全摘症例の長期予後の検討 第104回泌尿器科学会総会 2016年仙台

 【 腎がん 】 

 

 腎がんについて 

 

腎がんは抗がん剤治療や放射線治療の効果が期待できず、手術での摘出が治療の基本となります。摘出不可能な病変に対しては分子標的薬治療や免疫療法を用いることで予後の延長が期待できます。

 当センターの特徴 

 

当センターでは、年間80例以上の腎摘出術(良性、悪性、腎移植を含む)を行っており、そのうちの85%は腹腔鏡を用いた低侵襲治療を行っています。分子標的薬治療は現在6種類が保険適応となっており、いずれの薬剤も年間5~15例程度の豊富な投与実績があります。

4センチ以下の小さな腎腫瘤の場合、約3%程度に画像検査で腎がんと区別ができない良性腫瘍(血管筋脂肪腫、オンコサイトーマなど)が存在します。腎機能温存の面からも当センターでは積極的に小径腎がんに対しては腎部分切除術を行っています。

腎静脈~下大静脈、心臓内に進展するような大きな腎がんに対しては、外科、心臓結果外科と連携して可能な限り原発巣の切除を目指します。

分子標的薬治療や免疫療法においては、多種多様な副作用のマネージメントが重要となります。他科と連携して包括的に副作用のコントロールを目指し、少しでも長期間十分な量で治療が行えるようにサポートいたします。

 【 精巣がん 】 

 

 精巣腫瘍について 

 

精巣がんは発生率は10万人に1人、男性の全腫瘍の中でも1%程度とまれですが、20歳代や30歳代の男性では最も多い悪性腫瘍と言われています。
症状としては片方の睾丸にしこりができたり、腫れることが初発症状として多いです。痛みを伴う場合も伴わない場合もありますので、陰嚢の腫れを自覚した場合はすぐに泌尿器科を受診しましょう。来院時にはすでに肺やリンパ節などに転移していることも多いため、腹痛や呼吸困難をおこす方もおられます。
 

 診断 

触診:精巣そのものにしこりや腫れがあることを確認します。

血液検査:LDH、AFP、hCG、β-hCGなど腫瘍マーカーを測定し、診断の助けにします。

超音波:腫瘍が触れにくい場合や、他の疾患の鑑別に用います。

CT/MRI:がんの進行度などを調べるために行います。

 

以上の検査がありますが、最終的には手術で摘出した標本を組織検査して初めて診断が確定します。

 

 治療 
 

診断後速やかに精巣を精巣へ向かう血管や精巣上体ごと摘出する高位精巣摘除術を行います。当センターでは基本的に翌日までに手術を行います。

手術でとれた精巣の組織を顕微鏡で調べます。精巣がんはセミノーマと非セミノーマに大きく分かれ、それによっても手術後の治療方針が若干異なります。

 

転移がない場合は定期的に再発がないか経過観察する場合が多いです。

転移がある場合は病期や転移巣、がんの種類に応じてシスプラチンを中心とした抗がん剤治療を行います。

精巣がんは転移があっても抗がん剤がよく効くため、根治が見込めることも多いです。抗がん剤治療後に残存腫瘍を手術で摘出することもあります。

セミノーマの場合や放射線治療を追加することもあります。

転移があったとしても抗がん剤での治癒率は比較的高いです。

 
 治療後 

転移がない場合や再発後いったん腫瘍が消滅した症例は、定期的にCTや採血を行い再発がないか調べていきます。かなり長期間が経過してから再発するケースがあるため、当センターでは他のがんと異なり5年以上様子を見ています。

 

 【 後腹膜腫瘍 】 

 

 後腹膜腫瘍について 

 

後腹膜とはお腹の中にある、腹膜という膜に包まれていない空間のことを指し後腹膜腔とも呼ばれています。後腹膜腔には十二指腸、結腸、腎臓、副腎、尿管、膀胱、大動脈、大静脈などの諸臓器のほかに様々な神経やリンパ管、筋肉、脂肪などが収められています。後腹膜腔に発生した腫瘍のうち諸臓器を発生母地としないものを後腹膜腫瘍といいます。後腹膜腫瘍は全腫瘍のうち0.2%を占める程度と比較的稀な疾患です。

 

 症状 

 

後腹膜腫瘍は早期には症状を起こしません。腫瘍が増大してくると腹部膨満感や腹痛などが出現します。腹部に腫瘤が手で触れる場合もあります。

 

 検査と治療 
 

まず画像診断(CT、MRI)にてどのような組織由来の腫瘍か推定します。その結果も基づいて腫瘍を摘出手術あるいは生検(組織の一部を採取する検査)をおこないます。

摘出手術は腹腔で行う場合と開腹で行う場合があります。腫瘍のサイズや進展度で適した手術方法を選択します。生検も腹腔鏡あるいは開腹して腫瘍の一部を直接切り取ってくる必要がある場合が多いです。体表面に近い腫瘍であれば針生検で診断が可能な場合もあります。

摘出標本あるいは生検による病理診断にて腫瘍の由来組織が判明した段階で必要であれば専門科へ紹介し化学療法や放射線治療をおこないます。

 
 当科の過去症例 

2011/9月から2016/9月までの5年間に当科で後腹膜腫瘍として手術あるいは外科的生検を行った症例数は27症例でした。

 

年齢 分布 22~87
中央値 63
性別 男性 20
女性 7

 

組織診断 症例数
悪性リンパ腫 8
脂肪肉腫 4
精上皮細胞腫 3
神経節細胞腫 2
絨毛がん 1
未分化肉腫 1
血管腫 1
Atypical lipomatous tumor 1
傍神経腫 1
神経鞘腫 1
線維腫 1
後腹膜線維症 1
壊死性リンパ節炎 1

症例① 47歳 女性

無症状でしたが他科CTにて偶発的に後腹膜腫瘍を指摘。腹腔鏡下に腫瘍摘出術を施行しました。組織診断は脂肪肉腫でした。

 

◀︎右背部に43mm大の境界明瞭な腫瘤を偶発的に指摘されました。


症例② 87歳 男性 悪性リンパ腫

無症状、他院CTにて後腹膜腫瘍を指摘され紹介、腹腔鏡下に腫瘍生検を行いました。組織診断は悪性リンパ腫でした。術後に血液内科へ紹介しました。

 

◀︎腹部大動脈に巻きつくように増大する腫瘤陰影を認めました。


症例③ 42歳 男性

急激な腹痛にて受診。CTにて腹腔内に巨大な腫瘍を認め、その腫瘍血管の捻れによる疼痛が疑われました。

緊急開腹による腫瘍摘出術を施行し、組織診断は精巣上皮腫でした。

 

◀︎骨盤内に13cm大の境界明瞭な腫瘤があり、停留精巣の悪性化が疑われました。


当センターの尿路結石治療について

 当センターについて 

当センターでは一般外来、救急外来を通じて年間800人以上の尿路結石患者さんが受診されます。平成27年度の新規患者数は尿管結石672件、腎結石150件でした。

当センターの尿路結石治療の基本方針として、

  • ガイドラインに準拠した標準治療
  • 患者さんのニーズに合わせて
  • より低侵襲な治療

これらを目標として患者さんと相談したうえで治療法を選択していきます。

 治療内容 

当センターでは、一般的な尿路結石治療は全て選択可能です。具体的には以下に挙げるような治療を行っております。これらの選択肢から結石のサイズ、部位に応じて医学的に適した治療法を提案し患者さんの希望と合わせて相談したうえで施行しております。

①保存的治療(薬物療法、溶解療法)
自然排石が期待できる尿管結石、あるいは無症状の腎小結石については保存的加療が可能です。

薬物療法としては結石による疝痛発作に対する鎮痛剤(NSAIDS 、アセトアミノフェン、ブチルスコポラミンなど)や排出時の疼痛を緩和するα1ブロッカー(シロドシン、タムスロシン)を用います。

溶解療法は尿酸結石やシスチン結石が疑われる場合に尿アルカリ化薬(ウラリット)を用いて行います。

保存的加療で結石が排出されない場合や増大してくる場合、あるいは合併症として水腎症による腎機能障害や尿路感染症が出現してくる場合は積極的治療に切り替える必要があります。
②ESWL:体外衝撃波結石砕石術
外来にて日帰り施行が可能な治療法です。外来にて術衣に着替えていただいたうえで衝撃波発生装置の台座に臥床していただきます。術前に鎮痛剤(ペンタジン®筋肉注射)を行います。衝撃波装置を患部に接着させた状態で体外から体内結石へ衝撃波を照射して砕石します。

当センターでは2015年度よりSTORZ社製の最新ESWL装置を導入し順調に稼働しております。当センターのESWL施行数については平成27年で290件となっております。
③TUL:経尿道的尿管砕石術
腎あるいは尿管結石に対して最も多用される手術です。脊椎麻酔あるいは全身麻酔をかけたうえで尿管鏡という内視鏡を尿道から挿入して尿路結石を衝撃波あるいはレーザーを用いて破砕します。お腹を切ることなく行うことができる低侵襲な手術です。施行には3〜4日の入院が必要です。

近年では軟性尿管鏡という柔らかい内視鏡の普及によりほとんどの尿路結石がTULで治療可能になりました。当センターでは最新のオリンパス社製デジタル軟性尿管鏡を導入し手術が必要と判断される結石に対してTULを積極的に行っております。当センターのTUL施行数については平成27年で91件となっております。
④PNL
腎臓サンゴ状結石など、TULでは砕石しきれない腎結石に対して行う手術です。全身麻酔をかけたうえで脇腹から腎臓へ腎瘻というチューブを挿入し、そのチューブを通して腎盂鏡と呼ばれる内視鏡を挿入し衝撃波あるいはレーザーを用いて結石を破砕します。施行には1〜2週間の入院が必要です。当センターのPNL施行数については平成27年で10件となっております。
⑤その他(腎摘出術、開放切石術)
当センターでは低侵襲な内視鏡による結石治療を早くから導入し、経験とともに適応症例を拡大してきました。その結果として近年では内視鏡での治療困難な難治症例以外では開腹による尿路結石治療はほとんど行っておりません。

泌尿器科救急疾患について

当センターでは、高度救命救急センターと泌尿器科が共同して泌尿器科救急疾患の患者さんの診療を行っております。泌尿器科救急疾患として以下のようなものがあります。

①前立腺肥大症、膀胱結石、膀胱タンポナーデ(血尿)などによる尿閉
前立腺肥大症の悪化、あるいは膀胱結石や血尿でできた血塊などの異物の嵌頓により尿道が閉塞した場合、尿意があるのに排尿が全くできなくなり、このような状態を尿閉といいます。

尿閉が起こると膀胱が尿で充満するため下腹部痛がでてきます。さらに放置すれば膀胱内の圧力のため腎臓に負担がかかって急性腎不全を起こす可能性があります。

尿閉が起こってしまった場合は緊急で膀胱カテーテルで尿を排出する必要があります。泌尿器科外来あるいは救命救急センターを受診してください。
②腎盂腎炎
尿路結石や悪性腫瘍などで閉塞した尿路に細菌が侵入すると腎盂腎炎という感染症を起こします。腎盂腎炎は血中へ細菌が移行しやすいため、血流にのった細菌が全身に回る敗血症という重篤な状態へ進展する可能性があります。

腎盂腎炎が起こると脇腹の痛みや38度以上の発熱が起こります。敗血症へ進展した場合はさらに全身の震え、顔面蒼白、意識がおかしいなどの症状がみられます。

これらの症状が出現した場合は、尿管ステント留置術や腎瘻カテーテル留置術、抗生剤治療などの緊急処置が必要な場合があります。
③精巣捻転による急性陰嚢症(急激な精巣の腫脹)
急激に陰嚢が腫れて激しく痛む病態を急性陰嚢症といいます。急性陰嚢症の原因の1つに精巣捻転があります。精巣捻転とは精巣への栄養血管が含まれる精索という臓器が捻れることで精巣が虚血状態になります。長時間放置すれば精巣が壊死してしまいます。

精巣捻転は小児に多く、特に誘引なく起こります。就寝中や明け方に発症することもあります。治療には手術によって捻れの解除を行います。長時間経過して精巣が壊死している場合は壊死精巣を摘出します。

移植

 腎移植について 

末期腎不全の治療には、いわゆる透析療法が一般的ですが、腎臓移植というもう一つの柱があります。腎臓移植手術を行えば、免疫抑制剤の服用が必要となりますが、透析が不要となり、時間的拘束からも解放され社会復帰も可能となり生活の質が格段に向上します。日本では、脳死下あるいは心停止下の腎提供はまだまだ少ないため、血縁者や夫婦間の生体腎ドナーがほとんどです。最近では、免疫抑制療法の進歩により、血液型不適合生体ドナーからの移植成績も格段に向上しました。

泌尿器科では腎臓内科と協力し腎移植術に積極的に取り組んでおり、当科は主として、生体腎ドナーの腎摘出術及び移植手術と術後管理を担当します。生体腎ドナーの腎摘出術は、より低侵襲は腹腔鏡下手術を行っています。