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呼吸器外科


当科について

ご案内

場所

本館2F

受付時間

新患:8時~11時30分まで
再来:8時~11時30分まで

対象疾患

悪性疾患
肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫など
良性疾患
嚢胞性肺疾患(自然気胸など)、良性肺腫瘍、肺化膿症、気管支拡張症、膿胸、肺気腫など
その他
胸部外傷、重症筋無力症、手掌・腋窩多汗症、胸郭変形など

特色

当科は平成3年に開設され、和歌山県全域及び阪南地域における呼吸器疾患の外科治療の中心的役割を担っており、外科治療を必要とするすべての呼吸器疾患に対応しています。また、患者さんの手術による苦痛や障害を軽減するために、低侵襲の胸腔鏡下手術を積極的に導入しており、現在は大部分が鏡視下手術になっています。肺がんに対しては縦隔鏡検査を多くの症例に行っており、施行件数は国内屈指となっています。
胸腔鏡手術については、標本摘出に必要な最小限の切開で、一方で手術の質が低下しないよう、安全・確実に目的とする術式を完遂することを常に心掛けています。肺がん手術は肺葉切除を標準としておりますが、多発肺がんや末梢小型病変に対する区域切除などの縮小手術も積極的に行っています。また、進行肺がんに対する導入療法後の手術や拡大手術の症例も多く、最小限の合併症で良好な治療成績を誇っています。術後補助化学療法については、最新のエビデンスやガイドラインを踏まえつつ、進行度や副作用、患者さんの状態を考慮して最適なレジメン選択を行っています。緊急性・専門性の高い気道のインターベンションについては、当科は硬性気管支鏡を有しているため、気道狭窄に対する従来のシリコンステントに加え、最近ではハイブリッドステントを導入し症例に応じて使い分けています。
肺がん以外にも、気胸、転移性腫瘍、その他の肺腫瘍、感染症(真菌や抗酸菌症)、縦隔・胸壁腫瘍、手掌多汗症など幅広い疾患について多数の手術を行っております。年間約300例の手術件数は国内でも有数で、経験豊富なスタッフがそろっており、安全・確実で精度の高い診療を行っております。

患者さんへ

肺がんの手術を受ける患者さんは症状のない方がほとんどです。健康診断や他の病気の検査などで胸に影を指摘され、かかりつけの先生などから紹介されて受診される方が大部分を占めています。肺がんは増加している一方、残念ながら治りにくい病気の代表ですが、早期に発見して手術すれば根治も十分に可能ですので、まずは検診を受けることをお勧めします。我々の手術患者さんのほとんどは再発なく元気に普通の生活を送っておられます。検診でも、レントゲン検査ではわかりにくかったり隠れてしまったりする部分が多く、CT検査が有効です。また、最近は喫煙と関連が薄い肺がんも決して珍しくありません。積極的に検診を受けて頂き、肺がんに限らず胸部に異常を指摘された方や判別が難しいとされた場合などは遠慮なくご相談下さい。現在進行肺がんで治療を受けられている方も、手術が治療や薬の選択に役立つ場合がありますので、主治医の先生を通じてご相談下さい。
気胸は肺に孔があいて胸が痛くなったり苦しくなったりする病気です。若くてやせ型の男性の患者さんが典型的ですが、最近は中高年や女性の方も増えています。もともと肺に病気があると治りにくく手術が必要となるため、専門施設での治療が必要です。また、手掌多汗症に悩む方は潜在的に非常に多いと推測されます。手術を受けようと思われる方はそのうちのごく一部と思われますが、手術は保険適応で、腋の下に小さな穴を2ヵ所あけるだけで済み、手術翌日に退院可能です。今までの患者さんでは全例に効果が見られ、満足して頂いておりますので、悩みがある方はご相談下さい。胸郭変形の代表である漏斗胸については、今後低侵襲のNuss法による治療などを導入する方針です。それ以外の胸部の疾患についても、手術対象となる可能性がある場合は遠慮なくご相談下さい。
救急の場合を除き、当科は手術日を除く火・水・金曜日に外来診療を行っております。受診を希望される方は、かかりつけの先生を通じてご予約いただくか、直接当科外来へ連絡の上でお越し下さい。

地域の先生方へ

いつも当科の診療にご協力頂き誠にありがとうございます。当科では、近隣の医療機関から直接または呼吸器内科を通じてご紹介頂きました患者様を中心に診療を行っております。多くは検診でレントゲンや腫瘍マーカーの異常がみつかり、CTなどで胸部の異常陰影を確認された方が、当科へ紹介となります。直接ご紹介頂ければ手術適応について判断し、手術または呼吸器内科など他科と協力して診療を行いますし、呼吸器内科へご紹介頂ければ精査の上で手術適応の方が当科にコンサルトされるシステムです。いずれでも結構ですので、胸部の異常が疑われる場合は遠慮なくご紹介下さい。ただし、肺がんの場合は、進行した状態で発見される場合の方が多く、せっかく当科にご紹介頂いても手術適応外と判明する場合があります。手術を受けられないことを知り失望される患者様も中にはおられますので、進行がんの可能性があればまずは呼吸器内科へのご紹介が妥当かと思われます。
進行がんの場合でも、他の治療が奏効し、切除可能であれば手術を検討致します。院内であれば呼吸器内科・放射線治療科と密に連携しながら手術のタイミングを決めております。近隣の医療機関の先生方におかれましても、治療中の患者様で手術の可能性を考えておられましたら早めにご相談ください。また、近年は、薬物療法開始前に、最適な薬物選択のためのバイオマーカーの測定が重要となっています。気管支鏡や局所麻酔下での組織採取が困難であれば、短期入院で縦隔鏡・胸腔鏡検査による組織採取を検討致しますので、気軽にご相談下さい。
その他、気胸・膿胸の治療全般、胸部外傷、間質性肺炎の肺生検、気道のインターベンション、転移性腫瘍・肺の炎症性疾患・縦隔/胸壁腫瘍・重症筋無力症・手掌多汗症の手術など、我々がご協力できる範囲でできる限りのことをさせて頂きますので、今後とも患者様のご紹介よろしくお願い申し上げます。当科はスタッフが十分で多くの手術をこなせるため、比較的すぐに予定が入り、長期手術待ちとなることはほとんどありません。
通常の場合は当センターの医療連携総合支援センターを通じてご紹介下さい。気胸や外傷など救急の場合は当センターの救命救急センターで随時対応しております。

専門外来について

当科では専門外来は設けていませんが、各曜日で対応できますので、お気軽にご紹介下さい。
ただし、月・木は手術日になりますので極力避けていただければと存じます。


スタッフ紹介

医師

石川 将史 (いしかわ まさし)

役職 部長
卒業年 平成11年
専門分野 呼吸器外科全般
資格
医学博士
日本外科学会外科専門医
呼吸器外科専門医
気管支鏡専門医
がん治療認定医

長 博之 (ちょう ひろゆき)

役職 医師
卒業年 平成12年
専門分野 呼吸器外科全般 
資格 医学博士
日本外科学会外科専門医
呼吸器外科専門医
気管支鏡専門医・指導医
がん治療認定医
日本医師会認定産業医 

今村 直人 (いまむら なおと)

役職 医師
卒業年 平成13年
専門分野 呼吸器外科全般
資格 日本外科学会外科専門医

星野 大葵 (ほしの たいき)

役職 医師
卒業年 平成20年
専門分野 呼吸器外科全般 
資格
日本外科学会外科専門医
がん治療認定医 

峯浦 一貴 (みねうら かつたか)

役職 医師
卒業年 平成21年
専門分野 呼吸器外科全般
資格
日本外科学会外科専門医

疾患・治療

呼吸器外科で扱う主な病気について

肺がん
肺がんは病期Iから病期Ⅳに分類され,数字が大きいほどがんが進行した状態です。I期〜Ⅲ期はさらに細かくIA・IB期、ⅡA・ⅡB期、ⅢA・ⅢB期に分けられ、AよりもBのほうが進行した状態です。Ⅳ期は脳・骨・肝臓など他の臓器に転移している状態です。

肺がんは約20%を占める小細胞肺がんと約80%を占める非小細胞肺がんに分けられ、小細胞がんはごく一部の早期がんを除き手術の対象とはならず、当科は主に非小細胞肺がんの治療にたずさわっています。現在、非小細胞肺がんを根治させるには手術により完全切除することが最も有効とされています。手術での完全切除が期待できるのはI期〜Ⅱ期とⅢA期の一部ですが、治療成績はがんの進行度に反比例して不良となります。

このため、進行肺がんの治療には手術、抗がん剤治療、放射線治療を組み合わせた集学的治療と呼ばれる総合的な治療が必要となります。当科では原則的に、ⅡB期〜ⅢA期の進行肺がんに対しては呼吸器内科および放射線科と連携してまず導入療法(induction therapy)として抗がん剤と放射線治療を行い、がんを縮小させた後に手術を行うようにしています。これによりがんが完全切除できる可能性が高まり、また肺の全摘が回避できるようになりました。さらに導入治療前には手術不能であるⅢB期やⅣ期の一部の肺がんも完全切除できる割合が増えてきました。

現在までに2000件を越える肺がん手術を施行しており、最近は年間130〜150件の手術件数です。年間の手術件数が100件を超える病院は国内で10数施設しかありません。当科での肺がん手術症例の5年生存率はIA期74.8%、IB期73.3%、Ⅱ期46.8%、ⅢA期42.8%、ⅢB期32.1%、Ⅳ期12%であり、全国平均と同等以上です。このうち導入療法を行った進行肺がんの手術件数は240件で、おそらく国内最多の症例数と思われ、5年生存率は41.8%でした。

肺がんは治りにくいがんの代表ですが、治療成績は近年徐々に向上してきています。当科ではさらに手術成績を向上させる目的で、術後の再発を予防するための術後補助療法を重視し、経口抗がん剤を中心にした外来化学療法を積極的に行っています。最近では対象をIB期以降だけでなくIA期の一部の患者さんにも広げています。

当科では肺がん手術の多くの例に、手術当日の手術直前に縦隔鏡検査を行い、迅速病理検査による縦隔リンパ節転移の有無を診断しています。これにより、より正確な病期診断が可能であり、最適な手術術式の選択と術後補助療法の必要性の判定に役立っています。入院期間は、手術後1週間を目標としています。
自然気胸
約600例の手術件数です。最近はほとんどが胸腔鏡下の手術で行っています。術後4~5日以内の退院です。最近は特に高齢者の気胸症例が増えています。
転移性肺腫瘍
肺の転移巣の切除が患者さんの利益になると判断すれば、積極的に手術を行っています。現在までに約230件施行しており、全体の5年生存率は47.7%です。大腸がんが最も多く5年生存率は70%と良好でした。
重症筋無力症
神経から筋肉への指令を邪魔する蛋白質が作られるようになり、夕方になるとまぶたが重くなったり、ものが二重に見えたり、手足に力が入りにくくなったりする病気です。

神経から筋肉への指令を邪魔する蛋白質(ある種の免疫細胞が作り出すもので、自己抗体といわれるものの一種です。正常な状態では作られません)が作られるのを防ぐ目的で、まずステロイドを飲んで症状を抑えます。重症筋無力症の場合、胸腺といわれる臓器で自己抗体が作られています。胸腺はH型をしており、左肺と右肺の間の縦隔と呼ばれる部分に含まれ、胸骨のすぐ裏側にあります。胸腺を手術で摘出すると、筋無力症の症状が軽くなって、飲むステロイドの量を減らせたり、やめることができるようになります。手術では、胸骨を縦に切って開いて、胸腺と周囲の脂肪組織を一まとめに摘出します(拡大胸腺摘出術)。手術後には胸の中に管が1〜3本入った状態になりますが、手術翌日には全て抜けます。手術後1週間程度で退院できます。
手掌多汗症
緊張すると手のひら・腋に多量の汗がでてしまい、日常生活に支障をきたす状態です。

手のひら・腋の多汗症に対して、胸腔鏡で脊柱の傍にある交感神経幹(発汗を司る神経)を焼き切る手術を行います。手術直後より手のひら・腋の発汗が止まり、ほとんどの患者さんに満足してもらっています。手術のあとは左右1本ずつの管が胸のなかに入っていますが、手術翌日には2本とも抜けて、歩ける状態になります。手術後1〜2日で退院できます。
その他
炎症性呼吸器疾患、良性肺腫瘍、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、気管・気管支狭窄症に対する気道ステント留置、胸部外傷など種々の手術を行っています。
縦隔鏡検査
全身麻酔が必要ですが、気道周囲のリンパ節が腫れている原因や縦隔腫瘍の診断、肺がんの正確な病期診断にきわめて有用な検査です。現在までに約1,300件行っています。

呼吸器外科の手術について

開胸手術
標準的な方法で、胸を大きく切って開ける手術です。

腋の下から乳房の下を辿るように、15cmから17cm弧状に皮膚を切ります(前方腋窩切開)。肋骨と肋骨の間を切って、専用の器具で間を広げて手術をします。特殊な場合を除いて肋骨は切りません。手術の後には、胸の中に管(胸腔ドレーン)が1〜2本入ります。他にも、心電図モニター、血圧を測るための点滴(Aライン)が1本、普通の点滴が1本、背中に痛み止め薬を注入する細いチューブ(硬膜外麻酔)が1本、尿を出す管(膀胱バルーン)が尿道に1本入った状態になります。手術の翌日にはAライン・心電図モニターを外し、術後2日目には膀胱バルーンも抜けて歩行可能な状態になります。術後3日目に硬膜外麻酔を外します。術後の経過がよければ術後4〜6日で2本とも胸腔ドレーンが抜けて、すべての管から開放された状態になります。

右肺は3つ、左肺は2つの袋(肺葉といいます)に分かれています。肺がんの手術では、がんのある袋をまるごと取ってくる方法(肺葉切除)が標準的な方法です。そのほかの病気では、状況に応じて、区域 (肺葉のなかの区画)を切り取ったりする手術(区域切除)や、区域より小さい大きさの一部分を切り取ったりする手術(部分切除)を行うことが多いです。肺を取ったあとの隙間は、周囲の構造物が寄ってきたり、水がたまったりして埋まります。空洞のまま残るわけではありません。片方の肺をすべて取った場合はゆっくりと胸の形が変形しますが、それ以外の場合は胸の形が変形することはありません。
胸腔鏡下手術
最近は当科手術の約6割が胸腔鏡下手術です。現在までの手術件数は約1,600件で、肺がんなどの肺葉切除は470件です。