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いつ来るか分からない災害。日赤和歌山医療センターは、どんな対策をしているの? どんな概念や指針、ガイドラインで対策しているの?ちょっとマニアックな情報をお届けして いきます。赤十字の病院が行う救護について知っていただけたら幸いです。
2020/11/19
今回は、CSCATTTのAにあたる「Assessment」についてお話します。
Assessmentは、直訳すると「評価」という意味になりますが、通常、医療機関では患者さんの状態を確認・評価し、治療方針を決定するという意味で使われています。
では、災害医療におけるAssessmentとはどのようなものなのでしょうか?
災害時における情報の重要性については、Communicationの回でお話ししましたが、情報はただ集めるだけでは役に立ちません。集めた情報を評価し、今一番問題となっていることは何か?を分析する必要があります。
災害時には医療ニーズが急増する一方、医療資源が制限される状況となるため、医療ニーズと医療資源を比較・分析し、最も投入すべき課題を割り出し、活用できる医療資源をどれくらい投入すべきか?を分析する必要があります。
これを怠ってしまうと、不必要な場所に限られた医療資源を投入してしまったり、支援が必要な場所に必要な支援が入らないなど、活動自体に大きな混乱が生じてしまいます。
また、当然ですが、CSCATTTがしっかりと構築できているかも評価する必要があり、これができていないのであれば、優先的に構築しなければなりません。
つまり、Assessmentによって活動の方向性が決められるため、適切に行う必要があります。
では、Assessmentはどのように行うのかを具体的に説明します。
災害時には状況が刻一刻と変わっていきます。1つの課題が解決しても、新たな課題が発生したり、同時に複数の課題に対応しなければならないことも起こります。
これらの課題に対し、適正にAssessmentを行うために、「PDCAサイクル」が用いられます。具体的には、Plan(計画)を立て、それをDo(実行)し、その活動内容をCheck(評価)して、問題点のAct(改善)を行うことを繰り返す活動改善の手法で、活動を円滑に行うというものです。
災害医療活動に当てはめると、
① EMIS(広域災害救急医療情報システム)やMETHANEレポートによって得た情報を評価する
② 評価に基づいてメディカルサポート(TTT)計画を立案する
③ チームや活動現場に周知し、計画に沿って医療活動を行う
④ 活動の中で生じた問題や課題の情報を収集し、再評価し、新たな計画を立てて実行していく
といった流れになります。
このように一連の活動をPDCAサイクルに当てはめ、軌道に乗せていくことで、必要なタイミングで必要な場所に必要な医療資源を投入することができ、効果的な医療の提供が行えるようになります。
「防ぎ得た災害死」を少しでも減らすためにも、Assessmentは非常に重要な意味をもつのです。
次回は、EMIS(イーミス)についてお話します。
≪災害医療救援センター≫