
はじめに
今までの花粉測定法はスライドやテープの交換,染色,計数に時間や労力,熟練が必要であること,花粉の発生源のように花粉が高濃度な場所では花粉が飽和して正しく計数できないなどの欠点があった.リアルタイム花粉モニターはこれらの欠点を改善しうる機器である.リアルタイムの飛散花粉情報が得られること,簡便に飛散花粉数を測定することができることから今後普及していくと考えられる.今回リアルタイム花粉モニター(KH-3000)を用いて従来より使用しているダーラム型捕集器との結果について検討した.
検討期間
2001年2月2日から2001年4月26日とし,この期間に和歌山市で観測された飛散花粉.
花粉測定法
1)ダーラム型花粉捕集器
日赤和歌山医療センターの4階屋上に設置したダーラム型捕集器に,白色ワセリンを塗布したスライドグラスを24時間放置した.回収したスライドグラスはゲンチアナバイオレットで染色し,カバーグラスをかけ全視野の花粉数を計数し,結果は1cm2辺りの個数で表した.
2)リアルタイム花粉モニター(KH-3000)
飛散花粉のリアルタイム測定には,大和製作所製KH-3000(図1)を使用した. KH-3000は,半導体レーザーによる前方および側方散乱方式により,28μmから35μmの球形粒子を測定する装置である.KH-3000の仕様を表1に示した.使用条件は温度5〜35度,湿度80%以下となっているが,製造メーカーによると,使用条件を越える夏期冬期においても,実際使用上は問題ないということである.この装置を当院4階屋上に設置したラックに設置し,得られた結果を記録した.
結果とまとめ
それぞれの機器で得られた結果を図2に示した.リアルタイム花粉モニターの結果はダーラム型捕集器の結果と良好な相関を示し,3月のスギ花粉との相関係数はr=0.69,4月のヒノキ花粉との相関計数はr=0.89であった.リアルタイム花粉モニターの結果で,何れの花粉の結果とも一致しないピークが2月上旬から3月上旬までにいくつか認められたが,このピークは雪の観測日と一致していた.KH-3000は現在の所花粉の種類の特定は出来ないが,ヒノキ科花粉はスギ花粉と共通抗原性があり,スギ花粉で発症する多くの人がヒノキ科花粉でも花粉症症状を発症することから考えれば,本来スギ・ヒノキ科花粉症とすべきであり,この意味から考えるとKH-3000は有意義な測定機器であると考えられる.雪の影響については,製造元によると現在は雪センサーを付けて,雪を感知すると測定を記録しないという対策が試され,その結果は良好でありこの問題点は解決されている.
より詳細にお知りになりたい方は、次の論文でお読みください。
1.瀬野悟史・嶽良博・硲田猛真・他:
リアルタイム花粉モニターの使用経験
日本耳鼻咽喉科学会会報
105:232-239,2002.
2瀬野悟史・榎本雅夫・嶽良博・他:
リアルタイム花粉モニターの検討・耳鼻臨床
96:83-90,2003.