目の病気いろいろ

病気の知識
「百聞は一見にしかず」と言われるように、目から入る情報は膨大なものです。人間は外部の情報の80%を視覚によって得ると言われています。眼の構造はよくカメラにたとえられます。カメラのレンズにあたるのが角膜と水晶体で、フィルムにあたるのが網膜です。面眼の綱膜に入った情報は視神経を通して脳に伝えられ、脳で合成されて一枚の画像となります。この時に立体的に見えるようになります。これを両眼視機能といいます。左右の目が同時に機能し、さらに同じ方向に向いていることが必要です。斜視があったり、片目ではこの両眼視機能は存在しないのです。
視力は、生まれて間もない頃は非常に弱く、生活するうちに獲得されていき、6歳頃に大人と同じぐらいに成長すると言われています。目は使うことで機能を上げ成長していきます。使いすぎてもすり減ることはありません。しかし子供の頃に近くの物を見すぎると、目が近視になっていきます。日本では学校で勉強をする年頃に近視になる人が多く、これを学校近視といいます。
中年までは目の病気になる人は少なく、近視以外で目のことを意識することはあまりないでしょう。しかし40歳を過ぎる頃から近くが見えにくくなり、45才頃からは老眼鏡が必要になります。この頃から糖尿病、高血圧からくる眼底出血や緑内障で視野が狭くなる人が増えてきます。成人における失明原因の1位、2位は糖尿病性網膜症、緑内障です。老人になって目で不自由な思いをしないためには、この40歳頃からの検診が大切です。
糖尿病性綱膜症は糖尿病の合併症で最近急激に増加しており、成人の失明原因の1位です。糖尿病になって血糖が高い状態が10年以上続くと、眼底に血管の瘤(毛細血管瘤)が出来て、破れて出血します。さらに進行すると白斑や新生血管が出来て、大きな眼底出血(硝子体出血)を起こして失明します。
糖尿病になっても10年以上は視力に影響がでません。糖尿病の治療(血糖のコントロール)をおろそかにして、視力低下を自覚したときはかなり綱膜症が進んでおり、そこから治療を始めても手遅れになることがしばしばあります。眼科ではまず綱膜をレーザー光線で凝固します。不幸にも硝子体出血まで進行した場合には、なるベく早く出血をとる手術(硝子体手術)を行います。最近では手術により失明を免れる人も増えてきましたが、やはり進行しないうちに血糖のコントロールを行うのが最も大切です。治療しても出血した綱膜は元には戻りません。
目の画像 緑内障(あおそこひ)は眼圧(眼球の硬さ)が高くなり、視神経が萎縮して綱膜からの信号が脳に伝わらなくなり、結果として視野が狭窄する病気です。40歳以上の人の100人に3〜4人が緑内障といわれており、成人の失明原因の二位です。正常眼圧は10〜21mmHgです。緑内障には大きく分けて、角膜の付け根の隅角といわれる部位が狭い原発閉塞隅角緑内障と、広い原発開放隅角緑内障の2つのタイプがあります。前者は45歳以上の女性に多く、前駆症状として一過
性視蒙(目のかすみ)、虹視症(電灯の周りに虹が見える)、頭痛があり、続いて激しい眼痛・頭痛、悪心嘔吐、著しい視力低下、角膜混濁、充血、散瞳、著しい高眼圧を生じる緑内障発作がおこります。治療は早急に手術(虹彩切除)を行います。早く限圧を正常化しなければ失明に至ることもあります。後者は初期には自覚症状はほとんど無く、かなり進行して初めて、高眼圧、視力障害、視野障害に気づくことが多く、まず眼圧降下剤の点眼を行い、進行が止まらなければ手術を行います。最近では眼圧が正常なのに視神経萎縮、視野狭窄を伴う正常眼圧緑内障(低眼圧緑内障)も多いことが判りました。治療は原発開放隅角緑内障とほぼ同じです。緑内障は視力を改善する治療はなく、進行を防ぐことが治療の目的です。
人生の最後まで目で苦労しないために・目を長持ちさせるためには、近くが見えづらくなったら(老眼)一度眼科を受診してください。できれば定期的にドック(検診)を受診してください。目の病気を含めて全身の多くの病気が、自覚症状のない初期に見つかります。なんと言っても早期発見・早期治療が大切です。
前眼科部長 田中 康裕
田中康裕先生写真
(日赤和歌山健康だより Vol.6より)

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